さて、クリスマス・イブまで後六日である。私はアヤへのプレゼントを作るべく、部屋にこもっていた。昨日森から帰ってきて風邪をひいたから部屋には近づくなとアヤには言っておいた。かわいそうだがこの計画を知られるわけには行かない。作るものはもう決めている。…腕輪だ。アヤの細い手首にぴったりと合う物をしつらえるつもりだ。
私は机の引き出しを開けると、アヤに一番似合う色を探すべく無造作に転がっている宝石の品定めをした。赤や青や透明の宝石が、ろうそくの光を反射して輝いている。私は一つの石を選んだ。カッティングはされておらず、楕円に磨き上げられた赤い石。
「このガーネットがいいだろう」
大粒のガーネットは蝋燭の炎と私の顔を映し出した。だが、赤一粒というのもなんだか派手な気もする。私は引き出しの奥に手を突っ込み皮袋を取り出すと、その中身を机に空けた。ガーネットより二周りほど小さめの宝石たち。私はガーネットと同じようにカッティングされていないものを探した。私の目に留まったのはピンク色の二粒だった。これは確かペルシャ宮殿の女官のイヤリングだったものだった気がする。あそこではいろいろなことをしすぎて宝石一つ一つまで記憶が無い。私はそれを手に取り眺め回した。
「これは…ロードライトガーネットだな…。ガーネットでそろえるのも悪くは無かろう」
私はガーネットの大きさを測ると、早速銀細工に取り組み始めた。溶かし、曲げ、研磨する。部屋の中だけでやるにはあまり設備が整っていないので、結局4日ほどかかってしまった。私のことを心配していろいろと世話を焼こうとしてくれるアヤの気持ちが少々心苦しくはあったが、なかなかよいものに仕上がったと思う。
中央のガーネットの上下に蝶番をつけ、腕輪が開閉するようにする。掌側のフックは、押せばすぐに外せる様にしておいた。ガーネットの左右にロードライトガーネットをはめ込む。上々の出来だ。フックに向かってなだらかに細くなっていくフォルムも、蔦を模した曲線も、私は大変満足だった。これならアヤの細い手首に美しく収まるだろう―――。その様を思うと、胸が高鳴る。アヤが喜んでくれればいいのだが…。
私は出来上がったばかりの腕輪をそっと引き出しにしまうと、明日からどんな顔をしてアヤに会えばいいか考えつつ、ベッドに身を横たえた。睡眠不足気味だった私の意識は、すぐに肉体から手放されていった。